私の経営する会社に勤める従業員に関わる『生活保護不正受給の疑い』と思われる調査依頼の記録(3名分)です。
生活保護不正受給容疑1.M子
退職1年後に調査依頼が送られてきた
入社 | 2015年(平成27年)6月9日入社 |
退職 | 2015年(平成27年)10月31日退職 我が強い性格もあだとなり、他従事者との人間関係で孤立気味な様子が伺えた 最終的には会社側の小さな落ち度、小さな不満を羅列し会社に非があるとし辞職に至る |
同居家族 | 母子家庭4人家族 ・本人(20代前半) ・母親 ・兄 ・年の離れた弟(小学生) |
職歴 | 履歴書上では入社直前まで物販業のレジ打ち約1年 |
違和感 | ・給与支払いについて最終的には地方銀行の本人口座を提出してきたが、入社後に何度も現金支給を希望してきた(前職場も現金払いとのことだが上場企業直営店なので疑わしい) ・採用時の「身元保証人」について、母親から「理由問わず一切記入しない!責任者と会わせろ」となぜか猛烈なケンカ腰で会社に電話があった。ヒステリック過ぎて冷静な会話ができない状態。とりあえず本人は「就業を希望する」意思であったので「身元保証人」書類なしのまま採用に至った |
不正受給調査書類
退職の1年後に生活保護法第29条による調査依頼書が会社宛に届き、所定の回答書と賃金台帳等で対応しました。
しっかりと「給与振込先口座の記入欄」もありますので、生活保護関連での隠し口座であったとしても今回でばれてしまうと考えられます。
調査依頼の理由
調査目的は不明ですが、生活保護受給にあたり収入を調べなければいけない事案が発生したことは間違いなさそうです。
在職期間は3ヶ月程という短期間であり、しかも1年以上も前の就業実態が明るみになったのは「給与支払報告書」ではないかと考えられます。
今回の件は会社が給与支払報告書を未提出だったならば明るみになっていなかった かもしれません。
というのも、「年間支払額30万円以下の退職者」分については市区町村への提出が免除されまする特例がありますが、特に個人経営の延長にあるような中小零細企業にあっては、年間給与100万円程度のパート社員分について、場合によっては数百万の社員分についても提出しない会社も少なくありません。
今回M子さんへの給与支払総額は3ヶ月で60万円弱でしたが、当社の場合は100円でも給与が発生してた従業員分については漏れなく報告しています。
生活保護不正受給容疑2.A子
不正受給調査書類
入社 | 2013年(平成25年)3月1日入社 |
退職 | 2013年(平成25年)9月15日退職(在職期間約6ヶ月) ・同業他社での勤務経験があり通常業務はスムーズに順応 ・金銭面・計算面における過ちが非常に多くその点では順応に相当の期間を要した ・小中学校は特別学級に在籍していたことが後々に判明 ・家庭の事情を理由に逃げる様に辞職に至ったと報告を受けている |
同居家族 | ・本人(20代後半) ・母親 ・離婚している父親(母子家庭手当受給目的の偽装離婚であると本人が公言) |
職歴 | 同業他社で約3年の勤務経験あり |
退職1年経過後に生活保護法第29条による調査依頼書が会社宛に届き、所定の回答書と賃金台帳等で対応することになります。
しっかりと「給与振込先口座の記入欄」もありますので隠し口座であったとしても今回でばれてしまいます。
調査依頼の理由
調査目的は不明ですが、生活保護受給にあたり収入を調べなければいけない事案が発生したことは間違いなさそうです。
当社に調査依頼があったのはM子同様に「給与支払報告書」ではないかと考えられます。
給与支払報告書等を基にして6月頃に住民税の課税額などが決定されます。その後、役所内での様々な情報交換・照合などによって不正が暴かれているのでしょうか
生活保護不正受給容疑3.Y子
状況的にはかなり悪質な不正受給を疑われる内容です。
入社 | 2014年(平成26年)3月入社 |
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退職 | 2016年(平成28年)12月31日退職(在職期間約1年9ヶ月) 営業所閉鎖に伴う退職 |
同居家族 | ・本人(40代後半) ・子供2人のシングルマザー |
職歴 | - |
違和感 | 給与振込口座に「携帯電話に特化したネット銀行」を提出 「他に銀行口座は一切持っていない」に強い違和感を覚えた記憶がある |
不正受給調査書類
退職後わずか2ヶ月足らずで生活保護法に基づき、退職前1年分の給与実績の照会依頼が届きました。
実はそれよりも以前に、「母子・子ども関連の手当て」担当部署からも就業実態の確認があり、給与額や勤務状況について事細かに執拗な質問がありました。
Y子はシングルマザー向けの何かしらの手当てを受給していたことは間違いないと思われますが、いったいY子は何をたくらみ、どんな行動を起こしていたのでしょうか。
回答直後に更なる調査依頼
前回分とは照会期間の異なる約2年間分の給与照会依頼が届きました。役所の本気度がうかがえますね。しかも、前回の回答内容に添付した賃金台帳(給与一覧表)と、Y子が提出していた給与明細書の金額に大きな差があると記されています。
万一にも間違った回答は出来ませんので、2年分の給与明細と銀行振込履歴を照らし合わす作業を行いました。
結果的には前回の回答分も含め、賃金台帳と実際の支給額には1円の違いもありません。これは Y子の意図的な過少申請 を疑いざる得ない状況になってしまいました。
後日発覚!Y子が役所に提出していた給与明細書は、Y子がエクセル作成したお粗末な偽物でした。
警察の介入
数か月後には警察(刑事)からも同様の書類の他、雇用に関わる一切の書類の任意提出を求められました。
任意といっても拒否すれば強制的に回収される手配をされそうですし、そもそも拒否する理由はないのでもちろん協力しました。
その後の展開は不明ですが、生活保護等の不正受給による詐欺罪など、最悪の場合は告発されている可能性ありそうです。
借金問題に強い弁護士事務所
私は原則的に『無視』と『郵便物はシュレッダー直行』に徹していますが、支払督促など無視し続けると最悪の場合は財産の差押えが待ち構えています。差押自体は財産がなければどうでもよいことですが、一番困るのは勤務先への給与差押ではないでしょうか。金銭面と会社への信用面の2つに関わ問題です。ここまでくる前に確実に解決を望むのであれば借金問題に強い弁護士にお願いする方が無難です。
弁護士以外にも『司法書士』にお願いする方法もありますが、扱える限度額や委任可能範囲に違いがあります。費用的にも大差はないので全権一任できる弁護士に依頼する方が手間も省けスムーズに解決しやすい傾向にるようです。